三つ子のガスタンク
笑顔を見ていたい、その場にいれるときだけ。

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近況とその先
仕事はしばらく、のんびりやることにした。
異動を狙っていたポジションがなくなり、
メインクライアントも冷え込み
走り抜けた一年に本当に区切りがついてしまった。
ここで身に付けられるものはまだまだあるだろうけど、
やっぱり違う気がする。

なので、
次に進むための準備を始める期間にした。
そうはいっても簡単にはやめられないから
職種も踏まえて、
民間なのか公共なのか
考えないと。
とりあえず両方で働く人にコンタクトして、センター見学して、
ボランティア探して
3月からは具体的に落とし込みたい。

半年くらい前、
民間の一番気になっている会社のソーシャルワーカーと知り合いになった。
勝手に運命感じている。
- : - : - : posted by 内藤
勝者
この半年間、
ゲームに勝って、
勝って勝って勝ち続けて
金だけは稼いできた。


それも簡単に勝ってきたわけじゃない、
絞り出すように作った数字だ。
一年トータルで見れば
クオーター目標はやればやっただけ上がり、
今わたしの数字は部でトップ3の重さになっている。
そんな中でクオーターは4期全てクリアした。

それでも、得たものが無かった。
なぜこんなに苦しんで、結果も出して
それで達成感も充実感もないのか自分でも驚いた。

一方で周りの同期や後輩は
目標は外していても
営業力がついたり、視野が広がっていたり本人達の充実感や成長している様も客観的にわかる。

これ以上できない、という直談判はデータを持ち出しても部長にはそれほど響かなかった。
目標の確定は明日だが、恐らくまた上がってしまうだろう。


このままどこにいくんだろう。
ただ走らされるだけ、消耗するだけの。

ここで得られる他の要素、数字以外の価値観が、わたしには見出だせない。
みんなの考えるたのしさには共感できないし、
やはり集団にはなじめない。
もともと志向の逆を行ったからもあるだろうが、
もうここにいるのも限界な気がする。





- : - : - : posted by 内藤
一人になると二人を感じる
有給を取って、一人で温泉に来た。
21時を回り、ようやく仕事の電話からも解放されて部屋でぼおっとしていると
ふと、先週彼と話したことを思い出した。


彼がわたしと会うとき
行き先や、次に会う日さえ決めなくなって、
わたしより友達といるときの方がたのしそうだと感じていること、
表情があまり変わらないから感情が読みづらく、
たまにわたしがさみしくなること。

なんとなく知っていたけど、
彼はこだわりがなく、大抵は誘われてついていく人のようだ。
あかりが非日常から日常の存在になって、一緒にいる以上を求めなくなってしまった、
大抵のことは楽しめると思う、でも自分で行きたいと思うところはほとんどない
だから申し訳ないけど、行きたいところを云ってほしい。
それと、自分はうまく笑えなくて、無理に笑おうとすると変な顔になるからしないけど、
あかりといると落ち着いていられる。

しんと静まりかえった部屋で
ぽつりぽつりと彼が話してくれた。
彼の話が終わったあと、わたしたちは話をする前より優しい気持ちになって、
朝まで手をつないで寝た。


そんなやりとりをふと思い出したら、
ふいに泣いてしまった。
この4ヶ月、一滴も出なかったのに。


彼はおしゃべりではないけど、独特のユーモアがあって、わたしはよく笑う。面白い人だと思う。
友達に囲まれて、頼りにされて
たのしそうにしている。
それなりに苦労はしてきたようだが、
一見ただ大人しいだけのように見える。

でもだんだん、話したがらない話題がいくつかあることに気がついた。
話を続けて行くと、こちらの問いかけが向こうに届く前に吸い込まれてしまうように
彼の反応が鈍くなる。
話題を変えると、何事もなかったように戻ってくる。

別に彼が特別不幸だなんて思わないし、
その闇のようなものを引きずり出してバットで殴り殺して彼を救おうとか
そんな物語じみたことも思わない。

ただ、付き合うことをあまりしてこなかった彼がわたしといて落ち着くというのなら、
わたしは何があってもこの穏やかな日々を守らなくてはいけないと思うし、
もし別れる日が来たとしても
誰かを好きになることがこわくなったりしないよう、
細心の注意を払わなくてはならない。

さして魅力のない無口な年下メガネ男子でも
わたしにとっては
喧騒から離れて一人になったとき、真っ先に思い浮かぶ他人なのだ。


ようやく泣き止んだ。つかれた。
もう一度お風呂に入って、本を読んで、ぐっすり眠ろう。


- : - : - : posted by 内藤
きみのいる部屋
この町から出ずに終わっていく日曜日。
きみが部屋にいるのもすっかり慣れた。


きみが仕事のトラブル電話でやきもきしている間に
スーパーに買い物に行く。
きみがでテレビ観ててたまに大笑いするのを聞きながら
皿洗いする。
洗い終わってから
買ってきてくれたハーゲンダッツを二人で食べる。
きみが床にすわって
わたしはソファベッドに腰かけて
後ろからその大きな頭をもしゃもしゃしながら
またテレビを観る。


愛の言葉なんか一言もない、
劇的な展開なんか何ひとつない。
ただ二人がいて、
ちょっとだけお互いのために気を遣いあって
無事に終わっていく日曜日。

それがどれだけかけがえのないものか。
あー神様
あたしはこれ以上望むものなんかありません。
どうかこの幸せが一日でも長く続きますように。

- : - : - : posted by 内藤
夏休み、前半
今朝、駅で別れた。
きみから電話をかけてきたのも、会おうって云ってきたのも初めてだね。
うれしかったな。


土曜日は、テレビで花火を観ながらうちでごはんを食べた。
インターフォンを覗くと
キャリーバッグ持った黒い浴衣の男の子がいてびっくりしたけど、
きみなりに気を遣ってくれたんだなと思った。

日曜日は、動物園に行った。
子ども連れに混じってパンダに歓声を上げたり、ライオンにびっくりしたり。
夜ごはん食べに行って、家でテレビ観ながら隣で大笑いして。

きみがいると
ベッドが狭くなるから、わたしの眠りは浅くなる。
ただ、目を開けるたびに寝顔が見えて、
大きな腕につかまって目を閉じるとき
幸せだな、と思う。


「夏休み、ほとんどわたしがもらっちゃったね」
「しまった!返せよ」
ほんとツンデレだよね。

引き続き夏休みの彼と別れて、アポへ向かう。
クレームを食らって朝からボロボロだ。
どんなに仕事でぐちゃぐちゃになっても大丈夫。

週末から旅行だ。
うんと遊ばないと。


- : - : - : posted by 内藤
肉食系男子
表参道から外苑までタクシーを拾って
青々とした銀杏並木を歩いた。
夜の闇より一段濃い銀杏の緑が、
オブジェのように等間隔に並んでいる。


右手に持ったデザートの袋をさりげなくわたしの手から取って、
わざと持ちかえた鞄をもろともせずに
並木が途切れたら「こっちだよ」って
当たり前のように手を引いて歩く。

「えーなんで?」
「なにが?」
「だめです」
「いいじゃん」
「だめ。あたしが同じことされたら絶対にいやだから」
「そう?」

何の変哲もないあたたかい手は、
大きくてぶ厚いあなたの手に慣れたわたしには何か足りなかった。

信濃町に着いて、コンビニで酒を買って
ちょっと飲んで帰る。
膝がくっついている。
この人にさわられるのは嫌じゃない。でも。

男の人は酔うとみんな似たような眼をする。
じっとこちらを覗くような眼。
向こうは誘っているつもりかもしれないが、
わたしはすきじゃない。

「自分がどういうタイプと付き合ったら良いか、良く考えた方がいいよ」
「だいじょうぶです。わたしいま幸せなんで」
「まあいいや。また誘うよ」

雰囲気のいいお店、エスコート、ちょっとたのしいデート。
彼氏ができたと伝えても、気にくわなそうな顔をしたくらいで
肉食系男子は全然懲りない。


でもわたしは
家に着いてからの電話で、きみが小さい声で云った
「(わたしのことを)考えない日はないよ」
て言葉の方が、
ずっとずっとうれしかった。
この人がかなしくなるようなことを
わたしはするべきじゃない。
- : - : - : posted by 内藤
きみの顔
上手いとか下手とか
わたしにはどうだっていい話。

あたしはただ、してるときの
きみの顔がすきなのです。
もっと自分勝手にするものだとおもってた。
気持ちよくなることに溺れて、バラバラに
なるものだって。

ねえきみは
なんでそんな満ち足りた顔をするの。
穏やかな顔で笑いかけたりするの。
こんなこと、もう何年も忘れてたから
うまく返せてるかわかんないよ。

いまあたしが見ることのできる、
一番優しい表情をきみが持っていて
あたしがずっとほしかったものを与えてくれて
だから離れられないと思う。

- : - : - : posted by 内藤
ラストノート
朝が来て、じゃれあって、まどろんで、
朝ごはんを食べに行き、駅まで見送る。

部屋に戻って顔を埋めると
枕から匂いが消えてしまっていた。
「日曜日の夜はベッドが広い」とはよく云ったもので
がらんとした部屋で一日を過ごすのは耐えられないと思った。


異物感は、きみがそこにいた感覚は
その日のうちになくなってしまう。
わたしの空洞の入口は簡単に塞がり
また、埋めるときには血が流れる。
でも中は空っぽのままで、変わることはない。

それなら何か、残るものを手に入れたかった。
いつもかすかに立ちのぼる、匂い。
うたた寝から目をさましたあと、
くたくたの身体を引き摺ってノーメイクのまま
衝動的に探しに出た。

40分後、
ディスカウントストアの雑然とした陳列の中にそれはあった。
ブルガリのアクアプールオム。
深い青緑色の液体。丸いフォルム。
馬鹿げたことだとわかった上で
手を伸ばさずにはいられなかった。
男性の香水を自分用に購入した女性客を
店員もさして気に止める様子もなかった。
部屋に戻って、枕に吹き付けた。


夜になってベッドの上で目を閉じる。
残り香はポセドニアとアンバーだ。
きみの規則正しい寝息。大きな背中。形の良いくちびる。
これはきみの匂い。
いつもとなりにいてくれる。




- : - : - : posted by 内藤
事後
床に落ちた下着を拾い上げると血が滲んでいた。
妙に納得した。
この2年半の間で、
身体はすっかり他人を寄せ付けなくなったようだ。


シラフでなんかできなかった。
きみも、酒の力を借りなきゃ「すき」の一言も云えないくらいオクテだ。
それにたぶん、上手じゃない。

ただ、温かく湿った肌が心地よくて
カーテンから漏れる薄あかりの中できみがすごく優しい顔をしていたから、
離れたくなかった。
痛いのと気持ちいいのと安心と不安がごちゃ混ぜになって
意識が飛んでいかないように
メチャクチャなキスをしながら、少しだけ泣いた。


帰る前に、正面からだっこしてもらった。
胸にすっぽり収まり、30センチ上にある顔に笑いかけながら
たぶんこの人の胸はわたしのために空いていたんだと
勝手なことを考えた。


- : - : - : posted by 内藤
2時間後、腑抜けから抜け出す
わたし、なんにも身についていない気がする。
3年経ってやっとルーチンを回してる。
(その場しのぎでとりあえず達成するけど、やっぱり行き当たりばったりで視野が浅い狭い)


4年目は何すんの?
あと何年いんの??
次やりたいことはなに?
そのためにここで必要なことはなに?

2Qは始まったばかり。まだ間に合う。
他人の感情なんてどうできるもんじゃない。
甘えちゃいけない。
あなたがいてもいなくても、
あたしはあたしで、
働かなくてはいけない。


さあ、仕事しよう仕事。
ボーナスの特賞は外れても、公募に引っ掛かるように。
目の前の仕事を回すだけじゃなく、
周囲に思い遣りを持てるように。
居場所と価値を見いださないと、
捨てる前に捨てられる。
- : - : - : posted by 内藤
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